日常的実践の社会人間学 ― 都市・抵抗・共同性
2021年3月10日発行 ISBN978-4-9911473-7-1 A5版・372頁
【編者】松田素二・阿部利洋・井戸聡・大野哲也・野村明宏・松浦雄介
【発行】山代印刷株式会社出版部
【定価】2,970円(税込) ※ 完売いたしました
分断や矛盾に満ちた世界/社会を生きる人々は、自分たちの知恵と資源を用いてどのように生活世界を創造/再創造するのか。25人の社会学者/人類学者が世界各地のさまざまな日常的実践――民族紛争や社会運動、革命運動からスポーツやまちづくり、そしてフリースクールや食まで――に焦点を当て、都市・抵抗・共同性という三つの視点からフィールドワークをつうじて明らかにするとともに、日常的実践論の射程と新たな展開について理論的に考察する知的冒険の書。
(編者紹介)
松田素二(まつだ もとじ): 京都大学大学院文学研究科教授(社会人間学、アフリカ研究)
阿部利洋(あべ としひろ) :大谷大学社会学部教授(社会学)
井戸聡(いど さとし) :愛知県立大学日本文化学部准教授(社会学)
大野哲也(おおの てつや) :桃山学院大学社会学部教授(社会学)
野村明宏(のむら あきひろ) :大谷大学社会学部教授(社会学)
松浦雄介(まつうら ゆうすけ) :熊本大学大学院人文社会科学研究部教授(社会学)
目次
序論 都市、抵抗、共同性について思うこと ー 40年間のフィールドワークの軌跡から 松田素二 |
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第Ⅰ部 都市 |
第1章 都市・紛争・自然 ー ベルファストにおける野外レクリエーションの環境史 北島義和 |
第2章 都市抗議の日常化と記述 ー 2009年コペンハーゲンCOP15を事例に 濱西栄司 |
第3章 シンガポールにおける団地開発のもう一つの側面 ー HDB設立までの諸過程から 鍋倉聰 |
第4章 憑依宗教のコスモロジーとモダニティ ー 北タイ、チェンマイの精霊信仰と霊媒術 福浦一男 |
第5章 何も起こらない日常に変化をみる ー 生活世界の改変と継続の不可分性 中村昇平 |
第6章 都市と集合的創造性 ー ジェイコブズと出会う昭和の町 松浦雄介 |
第7章 大正・昭和大礼時の都市流入者の〈他者〉的容貌 右田裕規 |
第8章 都市が考える ー 物質論的転回以降の都市論のために 近森高明 |
第Ⅱ部 抵抗 |
第9章 ソフトレジスタンス論の射程 ー 集合的なプレイとコンヴィヴィアリティ 阿部利洋 |
第10章 操りの力を手繰り寄せる 朝田佳尚 |
第11章 自由への意志としてのモビリティ ー 松丘保養園における生活実践から 田原範子 |
第12章 抵抗としての太極拳推手交流会 倉島哲 |
第13章 「詩人のくに」の革命と詩学 ー 1980年代ニカラグア “Nicaráuac” 誌をめぐって 佐々木祐 |
第14章 国家と女神 ー 近世中国における母権的共同体の想像 川田耕 |
第Ⅲ部 共同性 |
第15章 #GandhiMustFall? ー 「ガンディー像撤去要求運動」が拓く移動と共同性の記憶 山本めゆ |
第16章 共同性としての「우리(ウリ)」の遂行的獲得 ー 在日朝鮮人青年による祖国訪問経験をめぐって 李洪章 |
第17章 「地域おこし協力隊」という日常と実践 井戸聡 |
第18章 医療の場の「日常生活世界」アプローチと拡張型劇中劇 翁和美 |
第19章 日常的実践論から子どもの「居場所」の成立条件を再考する ー 現代日本のフリースクールにおける活動の自由と多義性をめぐって 森田次朗 |
第20章 スポーツに内在する暴力性の行方 ー 桜宮高校体罰「自殺」事件を手がかりにして 大野哲也 |
第21章 食を通じた日常性・生活世界の再想像 安井大輔 |
第22章 他者の視点に立つことを再考する ー 模倣とパースペクティヴィズムをめぐって 野村明宏 |
第23章 日常人類学における共同性と了解 井口暁 |
第24章 それでもコミュニケーションはつづく ー 落語『時計屋』と『蒟蒻問答』の分析を通して 西村大志 |