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京ずいひつ小径 第11号 令和3年(2021年)春夏号

令和3年6月25日発行 ISBN978-4-9911473-9-5 B5版・210頁
【編集・発行】ずいひつ小径クラブ
【定価】1,500円(税込)

「小径を行く」

「みち」には、幾つかの文字がある。道・路・径・途など。そして、それぞれに意味がある。また、「みち」には、具象以外にも抽象的な意味が数多くある。そんな中で、「径」はどんな意味を持つのか。本来は、小さく細い状態を言う。 そしてそれ以上に、それだからこそ、誰のものでも無い、自分だけの、深い豊かな意味を持つ「みち」なのかも知れない。

いつか、読んだ詩である。「ただ歩く。手に何ももたない。急がない。気に入った曲がり角がきたら、すっと曲がる。曲がり角を曲がると、道にさきの風景がくるりと変わる。くねくねとつづいてゆく細い道もあれば、おもいがけない下り坂で膝がわらいだすこともある。広い道にでると、空が遠くからゆっくりとこちらに広がってくる。どの道も、一つ一つの道が、それぞれにちがう。」(長田 弘「散歩」より)

「みち」の漢字は数多くある。前掲の詩の「道」も、本来は「径」の字が相ふ さ応 わしいのかも知れない。これらの他にも、「みち」の文字は幾つかある。行・阡 廸 迪 陌 徑 倫 馗 逕 猷 塗 隧 蹊 衢……。それぞれに、様々な状態の「みち」を意味する。これまで、歩いて来たみち。いま、歩いているみち。また、これから歩くみち。自分だけのそんなみちの中で、共通する意味。やはりそれは、「人との共存」ではないのか。つまりは、「人が歩く」と言うことだろう。そして、それらは、すべて繋がる「みち」である。 さらに、また、途切れることなく続く「みち」でもある。そんな思いの同人たちの、ささやかな冊子である。一人でも多くの人たちに読んで戴ければ、それ以上の望みは無い。

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